運動習慣と生活習慣


 前々々回、「生活習慣病の有酸素運動療法」と題して、下記について書きました。
  1) 運動不足が生活習慣病を招いている。
  2) 有酸素運動が動脈硬化促進因子を軽減して動脈硬化の進み方を遅くする。
  3) 安全にして有効な有酸素運動の実践法(運動の種類、強さ,、頻度、
    継続時間、準備運動、正しい歩き方、走り方、水泳、サイクリング、歩くスキー、
    水分補給)
 続いて前々回は、「よりよい有酸素運動療法」と題して、運動の効果がよりよく
発揮されるために必要な、身体検査成績の正しい解釈(肥満、糖尿病、高脂血症、
脂肪肝、鉄欠乏等)について述べました。
 前回は、変更になった糖尿病の診断基準を紹介した上、有酸素運動にまつわる
睡眠の問題と日焼けの問題について書きました。
   今回は、有酸素運動と生活習慣とのからみあいについて述べます。
 ビール、ワイン、日本酒と、お酒のおいしい季節は途切れるところを知りません。
  ところで、昔、わたし供は患者さんのおなかを触れて肝臓の大きさを測り、
  短期間に大きくなったり小さくなったりするとアルコールの飲み過ぎで一時的に
  脂肪肝になりましたねと判断していましたが、この脂肪肝という病態は、今は
おなかの超音波検査で色々なチャンスに見付かってしまいます。肝臓に
脂肪がたまった状態で、肝臓の機能を落とします。言ってみればフランス料理の
フォアグラです。フォアグラは鵞鳥に脂肪と甘いものを食べさせてつくりますが、
人間も食後の血中の脂肪がふえている時に甘いデザートを摂れば、中性脂肪が
ドカドカと肝臓に入って脂肪肝になります。アルコールはこれまた血中の中性脂肪を
高めてせっせとフォアグラづくりに貢献します。フォアグラは顕微鏡で一定量の
肝臓の中に脂肪滴がどのくらいあるかで等級をきめます。皆さんの脂肪肝も
超音波検査で重症度が判定されます。私は脂肪肝の患者さんに
有酸素運動処方を出しておりますが、運動処方を実践された患者さんの中で、
運動強度が運動処方通りに適切で、運動の持続時間も処方通り一回
40分以上であった方だけの間で、運動頻度の差が効果にどう影響したかを
検討してみました。差は歴然たるもので、運動頻度が週3回以上の方は
脂肪肝が改善されたのに対し、週3回未満の方では改善が得られませんでした。
もちろん、運動強度も、運動の持続時間もそれぞれ重要であることは、
前回迄に述べた通りですが、適切な頻度については、週3回と申し上げました。
この週3回という頻度が非常に明解に効果を左右した事例です。一日おきに
  有酸素運動を各40分以上、適切な運動強度で実践されれば、肝臓や
  皮下の脂肪が燃やされ、筋肉や骨は保たれ培われて、適切な体脂肪率が
  得られます。
 お酒とは、肝臓とカロリーの両面からお付き合いなさって下さい。表1は
ガンマーGTPが2桁の異常でもそれ以上悪くならないアルコール飲料の
量(週5日)(3桁では禁酒ですぞ)。表2はご飯半ぜん(80キロカロリー)に相当
  する量です。
表1.アルコール濃度別にみた適量

ビール(4%) 600ml
ビール(6%) 400ml
日本酒(12%) 200ml
ワイン(14%) 180ml
焼酎(35%) 70ml
ウィスキー(40%) 60ml
ブランデー(40%) 60ml

表2.80キロカロリーに相当する量

ビール(4%) 200ml
日本酒 75ml
ワイン 100ml
焼酎 40ml
ウィスキー 35ml